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クチュ、と絡み合う水音を立てて唇を離すと、分厚い眼鏡の下の瞳と視線がぶつかった。
青い瞳は俺に夏の海を思い出させ、同時にその広大さに不安が押し寄せた。
広く深い海は、その広大さ故に誰でも受け入れてしまうのではないだろうか――
「……真実」
「あ……っ」
俺はそんな薄汚い感情を塗り潰すように、目の前の少年の名を呼ぶ。
そして、今度は両手でしっかりと松崎の顔を挟むと、もう1度、その熟れた果実を口にした。
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