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「せんせー?」
力ないノックのあとに、のっそりと開かれた扉から現れたのは、いつもの真っ青な顔だった。
「丸越、今日は何したんだ」
俺がデスクから動くことなく入り口に声を掛けると、「えへへ……」と気まずそうな笑い声が返ってきた。
「体育……出てみた」
「種目は?」
「……サッカー」
はあ、と分かりやすく溜め息をついて腰を上げると、ソファーに横になったそいつの下へ足を向ける。
「それで? 懲りずに無茶して具合が悪くなったと?」
授業後すぐに来たらしい丸越は、ジャージ姿でぐったりとしている。
俺がその顔の横にしゃがみ込むと、微かに頭を動かして肯定して見せた。
「だって、今日は調子良かったんだもん……」
「激しい運動は気を付けろっつったろ。ちったぁ人の言うこと聞け」
怒った口調で注意しながら、その頭を雑に撫でて髪を乱すと、内側に巻かれた前髪もボサボサになる。
毎日、丁寧にセットしているからか、丸越は台無しにされたヘアスタイルに「うー」と恨めしそうな声を上げた。
そんなガキを笑いながらも、視診と検温を済ませ来室記録を取る。
そして、俺は軽く丸越の肩を叩いて声を掛けた。
「ベッド行くぞ」
「んー……」
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