【前世】

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「まだ思い出せねぇのかアベル?」 「…父さん…?  何を言ってるの…俺の名前はミナミだよ」 ずきずきと頭が痛む。 アベル……? 何か重大なことを忘れているような…… 「なあ、このまま閉じ込めようか」 父さんの声に現実に引き戻される。 「ん……っ」 胸に強く口付けをされるたび 深紅の薔薇が咲いていく。 幼少の頃から開発された身体は 反射的に嬌声をあげてしまう。 これからくる更なる快感を期待して…… 「学校なんか行かせるんじゃなかった。悪い知恵をつけつきて」 「や……めてっ」 ニヤリ、と笑う顔が近づいてきた。 それは父さんの顔ではなく動物の雄の顔であった。 「逃がさない。例えお前が死んでも……永遠に」
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