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静かな廊下に、靴音が響く。
その音は段々と大きくなって
こちらに近付いてくるようだ。
教師だったら、面倒だな
重い腰をあげ、立ち上がる。
一瞬の春風が吹いた。
「あっ」
風に誘われて
開いた窓から桜の花びらが流れ込んできた。
ひらひらと甘い匂いをさせて漂っている様は
儚い美しさを秘めていた。
俺は、その華美に魅とれていた。
だから、気がつかなかったのだ。
ヤツが目の前にくるまで……
「見つけた」
そう微笑む顔は皮肉にも美しくみえた。
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