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僕は、愛する人を守って死んだ。
日々の生活は苦しく、犯罪に手を染めないと生きられないほどだった。
今回は金を盗んだ相手に家を襲われた。
死に際に、彼が驚いて逃げていくのが見えた。
良かった、彼女は無事だ。
でも、死にたくなかった。
まだ、ずっと、永遠に、彼女と寄り添いたかった。
そんな僕に死神は告げた。
「お前の一番大切なものを一つ渡せば生き返らせてやる」
条件は僕の中にあるもの、つまり僕以外に不利益を被る人はいない。
僕は喜んで二つ目の命を貰った。
目が覚めると、汚い部屋、臭い食事、見るに耐えない程痩せ細った僕と彼女。
あれ……?
僕が生きていた世界ってこんなものだったのか……?
僕の隣ですがるように嬉し涙を溢す彼女。
でも僕は嬉しくなんてなかったし、涙も一滴も出なかった。
――寧ろ、生き返った事を後悔していた。
またこんな地獄みたいな世界で必死になって生を手繰り寄せなきゃいけないのかと、絶望していた。
そして、気づいたとき、漸く僕の目から涙が溢れた。
ああ……そうか、
僕は、“恋心”をなくしたんだ……
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