1.夏が始まる

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「もう~~~っ!」 「うわっ!」 柊翔が思いきり抱きしめたせいで、鼻が潰れそうになった。 「痛いって!」 背中を叩いて、ようやっと離れてくれた。 「要がカワイイのが悪い。」 と言いながら、微笑む柊翔。 ったく・・・そんな顔されたら、何も言えなくなるじゃないか。 「夏休みに入る前に、行き先決めないとな。」 「まだ言ってるんですか?」 「だって、俺にとっては高校最後の夏休みだからな。」 ・・・そうだった。 これから先だって、いくらでも"夏休み"はあるかもしれないけど。 柊翔にとって"高校時代の夏休み"は、これが最後なんだ。 「・・・わかりました。柊翔さんもちゃんと考えてくださいね。」 そういうと、俺はおもむろに机の上に置いてあったノートパソコンをローテーブルに置くと、電源を立ち上げた。 「とりあえず、どんなとこに行きたいか、色々探しながら見てみましょう。」 そして、俺たちは一緒に、この夏の旅行先を探し始めたのだった。
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