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"二人で旅行に行く"
そういう話だった気がしたんだけれど。
俺たちと朝倉先輩の三人は今、学校の近くのファミレスに来ている。
終業式の後、旅行の打ち合わせをするのに、俺の家に行くんだと思ってたら、校門のところで待っていたのは、柊翔と朝倉先輩だった。
「こ、こんにちは。」
朝倉先輩とは、学校の廊下で会えば挨拶をする程度で、そんなに話をしたことはない。でも、柊翔とは仲がいいみたいで、いつも一緒にいる姿を見かける。
それを見るたびに、少しだけズキッとするのは、俺がヤキモチをやいているせい。それは自覚してるから、できるだけ、気づかれないようにしなくちゃ・・・。
「おう。じゃあ、行くか。」
「・・・マジでお前も来るのかよ。」
うんざりした顔をしている柊翔に構わず、肩に手を回して、コソコソと話してる。
・・・俺の目の前で、そういうのやめて欲しいな・・・。
"フゥ"
思わずため息が出てしまう。
そんな俺を朝倉先輩が目の端にとらえていたとは、気づきもしなかった。
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