1.夏が始まる

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期末試験は死んだ。 柊翔が一緒に勉強を見てくれたけど、俺は柊翔みたいに頭はよくないから、きっと面倒くさいだろうな、と思ってた。 でも、根気強く、俺のために教えてくれてた。 でもでも。 柊翔の横顔に、時々見惚れてたなんてことは、気づいていないだろう。 「お、終わった・・・」 俺よりも、死んでいるヤスが、自分の席で倒れ込んでいる。 「ヤスくん・・・」 残念そうな目で、隣の席から見ている佐合さん。 「茜ちゃ~ん」 抱き付こうとしているヤスは、両手で断固拒否をしている佐合さんが・・・嫌そうな顔をしているのに気が付かないのか・・・? 「ヤ、ヤス、諦めろ・・・」 後ろから羽交い絞めして、離れさせる。 「くそ~!慰めてよ~!」 ・・・ほどほどにしとけ。 ・・・というか、冷静に佐合さんの顔を見ろ。
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