1.夏が始まる

3/17
前へ
/193ページ
次へ
中間試験の時は、試験が終わった後は、柊翔は部活に行ったけれど、この期末では、すでに引退しているので部活に行くことはない。 「要~っ!」 教室の入口に、いつもの爽やかな笑顔で現れた柊翔。 「あ、はいっ。」 "じゃあな!"と佐合さんとヤスには片手を上げると、鞄を持って席から離れた。 「気を付けてね~♪」 「またな~!」 二人の声が、なんだか冷やかしているように聞こえるのは、気のせいではないだろう。 もう、この二人は俺たちの関係を当然のことのように見てる。 最初こそ、ヤスは困惑していたけれど、おそらく佐合さんの説得?のおかげか、今では、二人で一緒に応援してくれている。 だからといって、俺たちの関係がオープンになってるわけじゃない。 「鴻上先輩っ!いつも獅子倉くんと一緒なんて、ずるいっ!」 うちのクラスの女子たちの中でも、積極的な子たちが、柊翔の周りにへばりついている。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1040人が本棚に入れています
本棚に追加