1.夏が始まる

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笑って誤魔化してる柊翔を、廊下に引っ張り出すと、背中を押して昇降口に向かう。 「ほんと、モテモテですよね。鴻上さんは。」 飽きれ気味に言ってるつもりなのに、 「なんだよ、ヤキモチ?」 なんて、嬉しそうに言ってくる。 ・・・ヤキモチのつもりはないけれど、そういう風に言われると、意識してしまって、顔が赤くなってる気がする。 「な、何言ってるんですか。」 靴を履きかけている柊翔を残して、俺は先に校舎から出た。 「待てよっ」 追いかけてきた柊翔は、俺の後ろから肩を組んでくる。 「ち、近いよっ。」 顔が近すぎるから、小声で言うのに、面白そうな顔をして俺の顔を見て言うのは。 「こういうスキンシップだったら、誰も何とも思わないだろ。」 それ、耳元で言ったら、怪しすぎると思うんだけど。
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