1.夏が始まる

5/17
前へ
/193ページ
次へ
柊翔は、あの最後の事件の後から、やたらとスキンシップが増えた。 俺も、柊翔に対しては、前のように恐怖も感じないし、嫌じゃなくなった。 しかし。 あからさまに、誰が見てても触れてくるのには、ちょっと困っていたりする。 さすがに、手を握ったりまではしないけど。 下手にベタベタしすぎて、柊翔に変な噂がついてまわらないか、心配しているのだけれど、そんな心配など気にしないかのようで。 俺が一人でヤキモキしているみたいだ。 「要、この夏、一緒にどこかに旅行にでも行くか?」 肩を組んだまま、楽しそうに俺に言ってくる。 「もう、暑いんですけど。」 そうだ。もうすぐ夏休みなんだ。 それなのに、この人は、ベタベタと。 「そんな爽やかな笑顔されても、暑いものは暑いんですっ。」 無理やり、腕をひっぺがした。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1040人が本棚に入れています
本棚に追加