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「とにかく」
これで最後、と言わんばかりに、冷ややかな眼差しの一宮先輩。
「お互いに、何かあったら助け合うっていうことで。いいわね?」
「は、はい……」
「それと」
俺よりも大分小さい一宮先輩が、俺の顔に手をかけて、俺の目を冷ややかな目で見つめる。
「鴻上先輩は、知らないことだから。ていうか、誰も知らないんだから。バレたら、あんたが犯人ってわかるからね。それ、覚えといて」
"じゃあね"というと、二人は仲良く玄関のほうに歩いて行った。
……先輩たち、怖い……。
でも。
二人が楽しそうに歩いていく後ろ姿は、すごく綺麗で。
あの人たちには、あの人たちなりに、いろんなことがあったのかもしれない、と、思うような笑顔だった。
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