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ここはのどかな村。そこに建つ一つの学校でのお話です。
十月ごろ。今日はとても良い天気。眩しい太陽から隠してくれる雲に涼しい風、学ランを着た少年が学校に向かっていますね。
「今日は何をしてやろうかなー。いししっ。」
彼は名もない少年。ただ、野性的に生活する彼を見て、皆は猿と呼んでいます。それに習い、私もこの子を猿と呼びましょう。
猿は毎日一番に教室に着きます。理由はとても簡単。家では親がいるからやんちゃ出来ないからです。
「母も父も、俺が少し漫画を散らかしただけであんなに怒って。なんだよ。」
昨日は家にあった新刊を読み、放置したまま宿題をしていたのです。散らかった漫画を見た両親に怒られて、一人部屋にこもって課題を終わらしさっさと寝てしまいました。そのおかげか今日はとても元気です。
「もう、今日は何もやりたくない。」
元気だけが取り柄の君が何を言っているのですか。何もしなければ話が進まないでしょ。
「む、何かに励まされた気がする。そうだ、蟹のやつをいじめてやろう!」
急に元気を出した猿は、鞄から一つの苗木を取り出しました。
「あいつ、今日はおにぎりの日だ。これと交換しよう。」
いししっと笑う猿の教室の扉ががらがらと開きました。
中に入ってきたのは小柄な男の子。運動が苦手で身体も弱いけど元気な男の子です。誰かと話す時に蟹歩きになるところから、蟹と呼ばれています。
「おはよう猿。今日も一番なんだね。」
「おはよう蟹。」
二人が楽しそうに話していると、先生が入ってきて朝礼が始まりました。
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