第1章

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 四年後の同じ時期。朝起きた蟹は、何時もの通り柿の木を見に行きました。手には水いっぱいのじょうろもあります。 「これが……育ってくれたんだね。」  じょうろも投げ出し柿の木に駆け寄り、蟹は抱き着いた。 「やった、ついに育った!頑張ったね。」  感動して涙を流す蟹の隣にひらひらと緑の葉が落ちてきます。落ちた葉を見ていると、また別の所に。不思議に思い上を見ると柿を食べている猿が居ました。不法侵入です。 「え、なんで人の庭に勝手に入って勝手に柿を食べているの!」  蟹はさるに怒ります。 「俺のために育ててもらっていたのだから食べるに決まっているだろ。蟹にもやるよ。」  そう言い、まだ青くてかたい柿の実を蟹にぶつけます。 「いたい、いたい、不法侵入に暴行罪で訴えてやる。」 「んなっ?記憶が消えるまで投げ続けてやる!」  頭を集中的にやられた蟹は、その場で倒れてしまいました。猿は蟹を縁側に寝かし、青い柿を柿の木の下に植えて、証拠隠滅完了と言って学校を目指すのでした。
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