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「赤井朋弥が、相沢晴明を好きか嫌いかを、聞かせてよ」
真っ直ぐに見つめられた。
正直、胸の奥が痛いくらいに高鳴っていた。
「朋弥は! どう思ってんの!?」
叫ぶ声に、胸の奥がギリギリ締め付けられてくような気がして、ぎゅっと手を握りしめる。
「ちゃんと答えてよ!」
心に灼き付くような声だと思った。
息が出来なくなりそうなほど切なくて、思わず抱き寄せたくなるほどに愛しいような。
そこまで考えてしまってから、ゆるゆると頭を振る。
相沢は生徒なのに。
5コも下だし。
何より、オレの生徒なんだから。
「朋弥……っ」
「----っ、オレは! 教師なんだってば!!」
握った手に力を入れてから、俯いたままで叫び返す。
「…………オレは……教師なんだよ。……相沢は、……オレの、生徒、なんだよ……」
自分に言い聞かせるみたいに切なく呟けば、そっと相沢の手が顔に伸びてくるのに気付く。
「……でもオレは、本気なんだ……」
優しい手のひらは頬を包んで、追い打ちをかけるみたいに、優しくて切ない声がかけられる。
ヤメろよ、と呟く声は、情けないほどに掠れていて。
「…………顔、上げてよ」
「……」
「ねぇ…………----朋弥」
躊躇いがちに呼ばれて顔を上げれば、相沢は情けない瞳をして笑って。
「とっておきの魔法、見せてあげよっか?」
「……まほう……?」
「そう。魔法」
いきなり何? と首を傾げたけれど。
音にするはずだった言葉は、相沢の唇に奪われた。
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