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「教えてよ。オレのこと、好き? 嫌い?」
唇がゆっくりと離れていった後、だめ押しするみたいに聞かれて、もう何も言えなくて。
「どっち?」
重ねて問われて、ようやく口を開いてから、
「……す、き……だよ」
掠れる声をどうにか喉から絞り出して呟いた。
熱に浮かされたみたいに熱いのに、オレは最初から相沢のこと気にしてたんだ、なんて今更ながらに思っていた。
好きな人はいるのかと生徒に聞かれたことくらい、無視しておけば済んだはずのことだし、怒って済ませてしまえばいいことだった。
まして告白された後だって、突き放してしまえば済むことだった。
なのに、こうやってる。
「すき、だよ」
たぶん、そういうことなんだ。胸の内でそう呟いていると、あり得ないくらいに嬉しそうな顔で笑った相沢が、でも半泣きの顔で抱きついてきた。
「大好きだよ」
飾ることのない真っ直ぐな言葉を、愛しいと思った。
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