love you

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「じゃ、こないだのテスト返すよー」  ひらひらとプリントを、顔の横で扇ぐように揺らしてみせる姿は、とても教師には見えなくて、どっちかと言うと学生みたいに見える。  まぁ新任だし、23だし。しょうがないっちゃしょうがないのかもしれないけど。  ぼんやりと頬杖ついた姿勢で教壇に立つ姿を見つめていれば、不意にこちらを向いた瞳と、ばっちり視線が合わさって。  その瞳の綺麗さに思わず胸の奥が跳ねたけれど。  彼はメッ、と小さな子供を叱るような目をして、視線を逸らした。 (……なんだよソレ……)  笑ってくれても良いのに。  苦笑だって良かったのに。  でもなんでかな。めちゃくちゃ可愛いとか思えたのは。  やっぱりあれかな。オレはあの人が好きなのかな。  ぼんやりぼんやり、そんなことをツラツラ考えてると、 「相沢」 「ッ」  彼が、友達でも呼ぶみたいな音で、オレを呼んだ。 「何してんの。早く取りに来る!」 「ぁ……はい」  早く早くとせかす姿は、やっぱり友達を呼んでるみたいな気安いノリ。  なんとなく慌てながら受け取りに走った後で 「今日の放課後、職員室に来てよ」 「へ?」  こっそりと耳打ちされて、キョトリと見つめた後に、彼が怒ってるような笑顔を浮かべた。 「こんなコトしたんだから、予想くらいしてたでしょ?」  とんとん、と細い指が叩いて示すのは、白紙で出した答案用紙で。  こっくりと素直に頷けば、ふふ、と小さく笑われた。 「素直でよろしい。じゃあ次ー」  えっとー、と名前を確認する姿から無理矢理に視線をはずして、自分の席に向かう。  その間中、胸の奥が鳴っていたのは気付かないフリをした。  *****
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