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次の日もやっぱり遅刻してきた朋弥は、だけどいつもとはまるで違う空気をその身に纏っていた。
「…………今日も遅刻?」
「……」
いつもなら苦笑いか照れ笑いで謝るはずなのに、今日はただもそりと頷いただけで。
櫻木の問いかけにさえそんな反応を返して、無言のまま席に着いた朋弥の、綺麗なはずの目は真っ赤に充血していた。
(……朋弥……?)
昨日あの後、ずっと泣いていたのだろうか?
そう思うと胸が鈍く痛む。
けれど今はまだ朝のホームルーム中で、40人の生徒がいる。そんな中で軽々しく声を掛ける訳にもいかずに、出欠確認を続けるしかなくて。
内心の焦りが名前を噛むことに現れたけれど、それでも朋弥は他の生徒のように笑うこともせず、無表情に窓の外を眺めていた。
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