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あれから何日経っても朋弥の頑なさは変わらなくて。
イライラしてたオレに全てを教えてくれたのは、意外にも櫻木だった。
「ホントは嫌なんだけど」
「……何が?」
オレのとこへズカズカ歩いてきて開口一番そう言った櫻木の、心底嫌がってる顔を見ながらマヌケに聞いたオレに。
「朋弥くんのこと」
「……」
「……好きなんでしょ?」
「……」
「答えて下さい」
真っ直ぐ。睨みつけるみたいな強さで聞いてきた櫻木に、大人げないと分かっていながら、ケンカするみたいに睨み返して呟いた。
「だったら何」
「----なら。どうにかして下さい」
「……どうにか、って……」
それが出来たら苦労しないっつの、と胸の内で呟いたオレを、櫻木は嗤って。
「オレ、朋弥くんに告白しました」
「へっ!?」
「でもフラれましたけど」
「……フラ、れた……?」
「朋弥くんは、先生のことが好きなんですよ。見てれば分ります」
「……」
妙にキッパリと言った後で、なんでこんなオッサン一歩手前のチャラ男、なんてボロクソにオレのこと貶した櫻木は、最後に小さく呟いた。
「でも、しょうがないから。……朋弥くんのこと、お願いします」
返事も聞かずに歩いていく後ろ姿に、当たり前だろ、と呟き返した後で、保健室に走る。
『朋弥くん、ここんとこ寝れなかったらしくて、さっきの授業中、イスから落ちたんです』
『落ちたぁ?』
『ケガはしてませんけど、顔色悪かったんで、無理矢理保健室連れて行きました』
寝不足になるほど何かを考え込むなんて朋弥らしい、と小さく溜息をついて保健室のドアを開ける。
保健室のドアに下げられた『外出中』の札の通り、そこに養護教諭の姿はなかった。
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