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「今日から担任を受け持つことになりました、相沢です。えー、教師1年目なので、みんなに迷惑かけるかも知れませんが、1年間、よろしくお願いします」
新しいことを始める日は、妙に緊張する。
教育実習でも浴びたはずの40人分の視線が、今は少し重荷で。
けれど、窓際1列目の2番目の席が空白なことに気付いて、ようやく真新しい名簿を開いた。
担任をさせてもらえると知った日にも、嬉しくて何度も何度も開いたけれど、今日はその時よりも気分が高ぶっている気がする。
「じゃあまず出席をとります」
1番から名前を呼んで、2番目ですぐに返事が途切れた。
「赤井朋弥、は……欠席、か?」
連絡無かったけどな、と呟けば、遅刻じゃないですか、とどこかから声がして、じゃあまぁいいか、と次に進む。
それ以降はスムーズに進んでいた出欠確認を、半ばくらいで遮ったのは、そろそろと開いた教室のドアで。
「…………赤井朋弥?」
「っ……はい」
ゆっくりと、しかもこっそりと入ってきた生徒に言えば、一瞬ギクリとした後で素直に頷く姿に笑って見せた。
「遅刻だよ」
「すいません」
「とりあえず早く座って。空いてる、その……二番目ね」
素直な返事をして行動するのを、よしよし、と見つめていれば、また? と後ろの方にいた、確か櫻木とか言う頭良さげな生徒が優しく笑いかけて、赤井の方も、うん、なんて照れ笑いを返したりしていて。
(…………なんか…………ヤな感じ)
何考えてんだ、オレ。などと思いつつ、赤井が席に着いたのを確認してから、出欠確認を再開した。
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