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あぁ、もう。なんでオレ、こんなん好きになったんだろう。
教師の癖してエロイしヘンタイだし、セクハラ大王だし。
でも、たまに見る格好良さだとか、どっちかっていうと生徒みたいな思考の持ち主だとか。
案外優しいとか。
結局絆されてるんだなー、とか思ってたのに。
なのに。
「きったない部屋」
「だっ……て……最近成績出したりとかテスト採点したりとか、忙しかったんだよっ。いつもはもっとキレーだよっ」
精一杯トゲトゲしく言えば、がんっ、とショックを受けたらしい相沢が、いじけて部屋の隅。
こんなヤツに華の青春時代の終わりをあげてただなんて。
「掃除機は!?」
「ぇ? ……ぁ……そこの開きの中」
「ぞうきんは!?」
「……洗面台の下」
いじけたままの格好でキョトンと顔を上げた相沢に、びしっ、と指を突きつけてから、
「ゴミ片付ける!」
「ぅぁ、はいっ」
小学生よろしく返事をしてバタバタとゴミに向かって駆け出す後ろ姿を、よしよし、と見つめてから掃除機を取り出した。
「おー……キレーになったぁ……」
昼前に帰ってきたはずなのに、夕焼けさえ通り過ぎてしまった頃になって、ようやく掃除を終える。
なんとなく腕が張っているような気がしたけれど、綺麗な部屋というのはやはり気持ちが良い。
やれやれ、と床に腰を下ろせば、同じく満足げな年下の恋人が床に座っている。
「ありがとな」
「べつに」
照れたように顔を逸らす可愛さにこっそりと微笑ってから、触れるだけの口づけを贈って。
「ごはん、食べてく?」
「……いーの?」
「いーよ。掃除してくれたお礼」
「やった。じゃあパスタね、パスタ」
「りょーかい」
ぽんぽん、と頭の上に手のひらを置いてからキッチンへ。
久しぶりにピカピカのシンクに立って、鍋やら何やらを用意した。
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