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「ユウヒ様…その恥ずかしいです…」
こちらに来ていたのには気づいていたが話を折るのもなんだったので褒めちぎってやった。
「ユウヒ様、朝食はシャケの塩焼きに卵焼き…そして味噌汁とお茶漬けです」
神様お取り寄せ食材はアイラにも渡してあったから、俺の好みに合わせてつくってくれたのだろう。
「ありがとうアイラ。いただきます」
「はい。どうぞ召し上がってください」
「「………」」
王女様とシェリーの二人はアイラがつくった料理を見て驚いていた。
それもそうだろう。まさか伯爵の娘であるアイラが料理などできるはずがないとの思い込みゆえに、認められないのだ。
しかしアイラ本人はどうしても料理を覚えたいと、俺には内緒で自ら女神様にお願いして、料理本を片手に奮闘していた。
形も味も良し!
「ん、どこにお嫁にだしても大丈夫なくらい美味しいよアイラ」
「とても嬉しいです」
……
「ごちそうさまでした」
アイラはスッとお茶をだし、食器を引いてくれた。
さてと…24年前の記憶はこちらに戻った時に頭の中に流れてきた。
「王都へはすぐに発ちますか?」
「えぇ…。それぞれ用意を終わらせて一時間後に玄関に集合しましょう」
シェリーの言葉に皆部屋へと戻る。
荷物なんて全部ルームに入っている為、とりあえず時間までゆっくりと…
コンコン
「はい、どうぞぉ」
部屋に入って来たのは王女様一人だった。
急いで立ち上がる。
「突然申し訳ありません…」
「い、いえ…」
慌てて椅子を用意し座っていただく。
「あの…」
「は、はいっ⁉︎」
「その…私と話すの…緊張しますか…」
「…はい…やはりこの国の王女様でありますし…」
まぁ本当は…
「本当は?」
あれ?心の声が…漏れた?
王女様の目が少し吊り上がった
「本当は?別にそのような態度になる理由があるのですか?正直に答えてください!私はシェリーのようにユウヒ様とも仲良くなりたいと思っているんです!!」
「あの…正直に言うと…」
凄い目力…よそよそしくされるのが嫌いなのかな…
「王女様が…とてもお綺麗で…」
「えっ…」
「その…面と向かってお話するのが…は、恥ずかしくなるというか…」
「…ありがとう…。でも…私もシェリーやアイラみたいに貴方と話せたらいいな」
少し口調が柔らかくなった気がする。
「わかりました」
その後、二人で一階に降りテラスで紅茶を飲むことに。
「そうですわ!私のことはレイナとお呼びください」
「はい、レ…レイナ様」
「それにしてもユウヒ様はお強いだけではなく、ご指導の方も上手ですのね。私も今度…い、色々と…教えていただきたいですわ…」
何色々って⁈
「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、あれです!その!王族として強くならないと!先日みたいな襲撃にあうかもしれませんから!」
「王都に着いたら次いつお会いできるかわかりませんが、その時は「色々と」ふふふっ」
「もう!ユウヒ様ったらぁ…ふふふっ」
王族と関わったらろくな目にあわない可能性が高いと思うけれど、エレナ様の笑顔が見れるならそれもどうでもいいと思ってしまう。
そこへシェリーとアイラがやって来た…のだが
「もう!聞いていただけます⁉︎アイラったら部屋に戻るなり髪をバッサリ切ったのですよ!!」
アイラを見れば、先程は腰のあたりまであった髪が肩のあたりまで短くなっていた。
「動き辛い長さだったので短くしました」
シェリーが慌てているのにアイラの落ち着きよう。前とは正反対だな。
でも向こうじゃ短くしていた。でも…
「アイラ、似合っているよ」
「あ、ありがとうございます!ユウヒ様」
「そんな他人行儀みたいな話かたじゃなくていいのに。ね、アイラ?」
王女様がいても三人の仲ならいいと思う。
「ありがと、ユウヒ」
照れながら上目づかいで言ってくる。
思わず頭を撫でていた。
「もう子供じゃないんですよ…」
「じゃやめる?」
「もう…私がいいと言うまでダメですぅ」
「ふふ」
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