♯9

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「おはよユウ君」 「あぁおはよ。今日も凄く綺麗だよレイチェル」 「っ…もうっ…照れますぅ」 レイチェルは口をハンカチで拭くと、俺の着替えを手伝ってくれた。 一階に降りると、テレサとマナにも挨拶をする。 んっ? 「サラは寝坊か?」 起こしに行って驚かせてみるか…グヘヘへ…と考えていると… 「サラさんは体調が悪くお休みすると言われてました。あと…誰も部屋に入らないで…とも言われていました」 テレサは心配しているのかオロオロしている。 とりあえず部屋に行くか… コンコンッ 「サラ大丈夫か?」 「お兄…ちゃん……はぁ…はぁ…。絶対に…入って…来ないで…」 ガーンΣ(゚д゚lll) 初めて…拒否された…。しかし…感染病とかなら…一刻も早く治療を… 「ごめ…んなさい…。私の我儘…一日だけ…っ…だから…」 「わかった…」 一階に降り三人に事情を話、もし何かあればアシュレイの名前を呼ぶと来てくれる手筈をつけ城へ向かう。 王様の執務室に入ると、王様とフラウがいた。 王様の前に行き土下座をして成り行きを話す。 「これは…めでたい!王国の守護者の寵愛を娘二人が…」 …いいのか… 貴族には王様から通達し、文句を言う輩がいれば称号を剥奪してやる!と息巻いていた… 「伯爵…いえ、旦那様。この後…私の部屋で…」 腕を組んできてしなだれかかってくる。 しかし… 「ごめん…この後急いで森の王国へ行って段取りやらを話に行かないといけなくて…それに…」 「それに?とても深刻なお顔をされていますわ…。私にお話いただければ…お力になれることがあるかもしれませんわ」 確かに…サラとフラウはお互い女性だし…女性にしかわからないことはある。 家にも三人いるが… とりあえず朝の話をする。 「御父様、しばらく旦那様の御屋敷に私は滞在します」 「わかった!ユウヒ殿の力となるように、レイナとも力を合わせ務めを果たすのだ!」 「はい!さぁ旦那様一度御屋敷に行きましょう」 ……王様…絶対孫を期待しているだろ… とりあえずフラウをレイチェルに預け、俺は森の王国へ。 女王の執務室でアクアと、同盟について草案を王様が作ってくれたので確認する。 午後四時頃…確認を終え一息つく。 アクアが座っている俺の後ろにまわり、俺の頭に胸をのせて抱きついてきた。 「どうかされたんですか?何かふとした瞬間眉間にシワを寄せて思い詰めた表情をされていました…。悩み事でしょうか?」 「…実は…」 カクカクジカジカ 「サラちゃんが!大変です!少しお待ちになって」 アクアは部屋から走って出ていく。 五分程すると… 「はぁ…はぁ……大事な…仲間の危機です!森は守護者様が任せろと言われましたので、私もサラちゃんの所へ連れて行って下さい!」 「あ、あぁ…」 執務室から出ると…廊下の奥で倒れているミシェルがいた… 任せろと…無理矢理言わせられたのか…… 戦闘機に乗りフルスロットルで王国へ向かった。 午後五時半… 屋敷の玄関を開けリビングへ向かうと、アイラ達も来ており嫁がアシュレイを除き全て集まった。 「レイチェル…サラは…?」 「…ユウ君…まだなの…。まだお部屋には入れないわ…」 「なら俺が…」 「ユウヒ…待ちなさい。あなたお願いされたのに裏切るの?自分の都合で?サラは嫌われたくないから…謝って今日一日だけってお願いしてきたんじゃないの?」 うっ…。しかしもし何かの病気なら… 「ユウヒ様…待ちましょう。今は待つしかありませんわ…」 「ご主人様…」 「なら…せめて…部屋の前で待つ」 俺は立ち上がりサラの部屋へ。扉の前にはトレイにのった、冷えた食事が置いてあった… 「っ………。サラ…ただいま…俺…扉の前にいるから…何かあったら声かけてくれ…頼む…」 「…っ……」 微かに…苦しみに耐えるような息遣いが聞こえた… 何だっていうのか…どうしようもない焦燥感…しかし…サラを信じて扉の前に座り待った。 どれくらい待っただろう。 もしかしたら、部屋から空腹で出てくるかもしれない…と思い一階に降り軽食を作りに行く。 階段を降りると皆ソファーなどで寝ていた。 サンドイッチとクッキーを用意してサラの部屋の前に戻る。 「サラ…夜食用意したよ…。気分が良くなったら…」 「…お兄ちゃん…いいよ…」 凄く透き通った声…。お兄ちゃんと呼ぶからサラだとは思うが… ゆっくり扉を開けると…
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