♯9

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着替えたサラだが……胸の所が少し窮屈で脚も長いせいか…風が吹けば見えそうだ。 「ユウヒ…私…負けた」 「いやぁ…勝ち負けとかではないんじゃないかな…。逆にアイラの服をマナに着せて…勝ったとか思うのか?」 「うっ…」 「サ、サラお姉ちゃん…なんか…ごめんなさい」 いやサラ…逆に傷口に塩を… 「私…学園に行くね…」 家を出るアイラにレイナやシェリーにレイチェルが付いていく。 「サラ、服を買いに行こうか。アクアやテレサ、マナにフラウも来るか?」 というわけで、嫁五人を連れ貴族街近くの服屋へ来ましたと…。フラウは勿論顔がバレているので少し変装している。 「サラは服が全く無いから好きなだけ買いな。気にいるのがなければ他の店に後で行こう」 「お兄ちゃんありがとう。でも私…こういう高級なお店にあまり来たことないから…」 「それは私達にお任せください」 マナ以外の三人が目を輝かせながら張り切っていた。これは着せ替え人形になるパターンだな…。 考えてみれば三人は王族や王族の出なのだから、こういうのは慣れているのだろう。 俺はマナを連れ似合いそうな服を探すことにした。 「マナ、コレはどうだ?」 若干遠慮がちに頷く。 「遠慮しなくていいからな。俺はマナの可愛い姿を見れるだけでも幸せなんだ。平民出とか関係なく、もう俺の愛する人なんだ」 マナは嬉しそうに笑うと 【ありがとうございます、お兄様。お言葉に甘えて、社交場等に出る際のドレスを】 確かに必要だな…。しかし俺は似合いそうなのを何着か手に取り店員に渡して、マナに合わせていく。結局五着のドレスや白シャツに黒のスカート等を買った。 「お兄ちゃん…どうかな?」 サラ達の所へ戻ると…純白のドレスを着たサラが… 思わず片膝を着き頭を垂れる程…美しかった。 「次これ見せましょう」 フラウがサラを試着室に再び連れて行く。 20分後… 少し胸周りが見える黒に白が少し入り混じり、脚の部分にスリットが入ったドレス。 背中も腰の辺りまで見える。 魅せる妖艶な女性… やばい⁉︎ マナを俺の前に立たせた。 俺のアレがすぐ反応する位魅力的だった… マナが顔を少し赤らめこちらを見上げてきた。 「マナ…ちょっとの間…お兄ちゃんの前にいてくれ」 マナは頷き前を向いた。 背中に押し当てられたアレに恥ずかしくなったのだろう… 「サラ…綺麗すぎて…言葉にならない…」 「ありがとうお兄ちゃん…へへへっ」 サラが着たドレスも含め数着買った。 「ん?テレサとアクアは買わないのか?」 「い、いえ…私は…恩を受けてばかりで…」 「私は急にこちらへ来たし手持ちが…」 「テレサは恩なんて思わないでくれ。それなら俺はテレサに酷い仕打ちをした…」 「もう済んだことなのです…私はユウヒさんと一緒にいれてしあわせです」 「ありがとう。だから愛する人にはプレゼントを送りたい。アクアも気にせず服を選んでくれ」 「ありがとう。でも…私もこういうお店には来たことが無いからなぁ」 「アクアは薄水色のドレスが似合いそうだな」 森の女王だから緑かなと思ったが、湖の辺りにたたずむ姿が似合いそうだからな。 「わ、私はいかが…でしょうか…」 「テレサはクリーム…いや…薄黄色か…橙色も似合いそうだな」 ツンツン 振り向くとマナは自分を指差していた。 「マナは…………マナは………そうだなぁ……ピンク…いや…ブラウン……何でも似合いそうだ…」 曖昧な感じの答えになったがそれでもマナは嬉しそうにしていた。 ごめんよマナ…でもなんでも似合うのは本当だからね… 「なら他の…アイラお姉ちゃんは?」 「アイラは黄色だな」 「シェリーお姉ちゃんは?」 「シェリーは緑か黄緑」 「レイチェル先生は?」 「レイチェルは……紫やピンク…」 「あぁ…確かに…。アシュレイ様は?」 「白だな。アシュレイの美しさは白が似合う…」 「……そっかぁ…。レイナ様は?」 「レイナは赤が似合いそうだ」 「それじゃぁ、最後に私はどうかしら?言ってくれたら式の時そのドレスを着ようかしら」 「フラウは………んー…」 「ちょ!そんなぁ…」 「ゴールド!」 「そんな煌めいた感じじゃないよぉ…今適当に言わなかった?」 「ちょっとまだ付き合って日にちが経ってないからしょうがないだろ」 「うー…ならしばらくしたら買い物につきあってよね!」 「ああ、喜んでお供するさ」 「なぜか、お兄ちゃんとフラウさまが長く付き合っているカップルに見えますぅ…」 「そう?」 実際王族なのに話しやすい。こんな砕けた話し方をする人はあまりいないからなぁ… 「そう見てくれたのなら、嬉しいわ。私は、貴女達よりも彼と一緒にいる時間は短いしね」 「わ、私も頑張ります!」 アクアが何か張り切っている。 あ!そっかぁ…アクアだけ国外だから… 「アクア、できるだけ森の王国にも行くよ」 「はい!ありがとうございます」 さて、服選びを再開しお昼前に終わった。 どこかで外食しようかと思ったが、マナやサラが料理すると言い出したので反対することもなく市場で食料を買って行く。 サラは店のおじさん達から色々サービスしてもらっているな。 しかしいいことばかりでは無い。 サラを見ながら歩き、壁や人にぶつかって行くアホがいっぱいいた。 あちこちで怒声や、喧嘩が…。騒ぎが大きくなる前に帰ろう… 屋敷に着くと女性達はキッチンへ。 俺は執務室で新領地の経済計画を作成。 元帝国の西方と西南の街や村からなる領地。この領地内で自給自足ができるほどなんでも揃っている。 鉱物資源、海産資源、農耕畜産……ただし…悩みがないこともない。 領地が広すぎてどう領内の統治をスムーズに行うか…。領地を三分割にし代官を立ててもいいが信頼できる部下などいない…。 さてどうするかな…。
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