♯9

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翌朝アクアを森の王国へ送り届けた。 「イチミヤ様、楽しい時間をありがとうございました」 「ああ。…と、その…」 「?」 「何か体調に変化があったら教えてくれ…」 「ふふっ。分かりました」 アクアを抱きしめキスをし、手を振って王国へ帰った。 久しぶりにレイチェルの研究室へ。 二階へ行くと授業で使う資料を整理しているレイチェルがいた。 「ユウ君!どうしたの?」 「皆と昼食を共にしようかと」 「そうなんだぁ。もう少ししたら皆来ると思うよぉ」 「あっ!やっぱりご主人様がいらしてたんですね」 一階から上がってくる方の扉が開きシェリーを先頭に、アイラにレイナ、そしてマナにサラが入ってきた。 「相変わらずシェリーは俺が近くにいるとわかるようだな」 「ふふっ、愛の力ですよ」 しかしレイナやレイチェル等はそういったものはないようだ。 するとシェリーとアイラ姉妹…つまり…リスナ家の特殊能力なのかもしれないな… 「サラはどうだった?成長してからの学園」 「んー…私だとわかった瞬間の驚いている顔は面白かったよー」 「ははっ、俺も息するのを忘れて死にかけたくらいだからな」 「ほら、お昼の準備するから」 アイラは相変わらずしっかりしてるな。 あの話を一度二人きりの時に… 「ユウヒ…いいよ。あなたが望むなら」 耳元で囁きそのまま台所にアイラは歩いて行った。 迷惑かけてるなぁ…俺… 食事も終え次の授業が始まるまではまだ時間がある。 「話がある。新領主になるにあたってどうしても決めないといけないことがあるんだ」 「ユウヒ様…それは?」 「領都とは別に南側に大きな街がある。その街に信頼できる代官を置きたいんだ」 「私がなるわ」 他の女性達の視線がアイラに集まる。 「ありがとうアイラ。ただし、数年だけ。あとは臣下を育てて置くから」 「ふふっ、別に何年でもやるわよ。あなたが望むことをできる幸せは他にはないわ」 「ありがとう。まぁ再来年からの話だがな」 「今はどうなっているの?」 「王様が派遣してくださっている」 「なら私もアイラと一緒に付いて行きますわ」 「シェリー…」 「さすがに一人だとできることも限られてきますしね」 「お姉様…」 「だからレイナはその間、ご主人様と子作りに励まなければいけませんよ」 「ちょ⁉︎シェリー…まだ昼間ですよ…」 頬を赤くし照れるレイナ。 「ユウヒ…マナやテレサはどうする?フラウ様はユウヒの近くがいいと思うけど…」 「二人は…二人の意思に任せるよ。ただ…テレサが帝国の元王女ということで民から突き上げられる可能性もある。だから王都の屋敷の管理をマナと一緒にさせる案も一応ある。まぁこれは二人に聞こう。レイチェルは…」 「ユウ君、私は……マナちゃんとテレサちゃんと一緒に…。」 面倒見のいいレイチェルのことだ。心配してからのことだろう。 「わかった。一緒に暮らして行くはずだったのに…バラバラにしてしまって…ごめんな…」 「私もごめんなさい…。勝手に森の王国に住むこと決めちゃって…」 「サラちゃん…いいのよ。離れていてもユウ君が作ってくれた家族の糸はいつでも繋がっているわぁ」 「それにユウヒの提案はある意味、代を残していく上でも大事。分散させた方がよりユウヒの血を残す確率は上がる」 うん…そこまで考えてなかった… 「それに…ユウヒと…一日の中で相手をする時間が増える」 なるほど…夜みんなで寝ると、一人一回くらいで終わってしまうが…二、三人だと…一人三回位は体を重ねられる。 「それに全く会えないわけじゃない。月に数度集まる機会を作ればいいし、一人ずつ居場所を交代してもいい」 よく思いつくなアイラは。 「まぁこの続きは帰ってから皆一緒に話そう」
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