♯10

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午前十一時 そろそろ王城へと赴く時間だ。 「サラ、俺は先に行くね。サラはミレイが治ったら来るといい。その時は呼んだ天使に言ってくれれば迎えを寄越すよ」 「うんっ」 俺は扉から出ると、扉が一日維持でけるだけの魔力を送った。 それから天使を呼び屋敷の守りと、屋敷にはいる者の世話を頼んだ。 リビングに行けばマナとレイチェルの周りに集まる五人の少女。 マナに聞けば十三歳から十六歳の少女らしい。 少女達に天使を紹介し何かあれば遠慮なく頼るように伝えた。 昼食もマナとレイチェルが用意してくれているようだ。 「皆ごめんな。俺の結婚式の為マナもレイチェルもサラも出かける。助け出しておいてすぐ放っておく俺を許してほしい…。それと…君たちの新しい住処を穏やかな街に用意する。そこにはサラやミレイも住む予定だ。だから安心して数日ここで過ごしてくれ」 すると一人の少女が… 「謝らないでください…こんなに…良くしてくれているのに…私は…心から感謝しています…。ユウヒ様…御結婚…心よりお祝いします」 「「「「おめでとうございます」」」」 「ああ…ありがとう…いゃあ…嬉しいなぁ…」 「あら?ユウ君後ろ向いて…あ、泣いてる」 「しょうがないだろ!…なんか…心に染みて…きたんだから!」 「優しい言葉には…心のこもった言葉には…魔法がかかっているんだよ」 「だな…。さて…行くか…」 レイチェルとマナを連れ王城へ向かった。 王城へ着くとレイナの侍女に連れられて、レイナの部屋へ。 扉が開き窓の近くで椅子に座る純白の花嫁が。 「ユウヒ様…あの…」 「レイナ……綺麗だ」 「ありがとうございます!」 満面の笑みを浮かべるレイナ。スマホで写真を撮る。 帰ったら何枚もカラーで出して、各拠点に飾ろう。 「は、恥ずかしいですよー」 「レイチェル、後で正装した俺とレイナの写真を撮ってくれ」 「はぁい」 「撮った写真は部屋に飾ろう」 俺も着替える為に用意された部屋へ行く。 「ユウヒ…遅いわよ」 「ご主人様!早くしないと間に合いませんよ!」 「お、おう…」 リスナ家の使用人に着替えさせられた。 「ユウヒ…何かあったの?」 さすがアイラ。俺の最高の相棒! 「まぁちょっとな。後で屋敷に住む誰かに聞いてくれ」 レイナの侍女が迎えに来て…いよいよ式が始まる。 庭園に敷かれた赤いカーペット 脇には白い花が祭壇まで続いている 紹介の後一人神官の前まで行き、レイナの登場を待つ。 鼓笛隊の演奏の後、オルガンの独奏が始まりレイナがお辞儀をして現れた。 ゆっくり祭壇へ歩いてくる。 祭壇の前まで来ると立ち止まり、俺とレイナは祭壇の向こうにいる神官を見た。 神官はお辞儀をすると脇に引いていった。 ん?あれ?話が違う…。神官のありがたいお話と誓いの言葉が… すると…日食が起こったかのように辺りが薄暗くなる。 空から祭壇に向け光が降り注いだ。 羽がひらひらといくつも舞い、純白の大きな翼を広げ純白の服を着たアシュレイが多くの天使を連れゆっくりと降りてきた。 その光景に会場は騒めく。 アシュレイが俺とレイナの前に降り立ち、美しい微笑みを浮かべた。 「我が使徒ユウヒ…そしてフローティア王国の姫レイナよ。汝らの縁の交わりを我も喜び祝福しよう。しかし…それには二人の誓いを皆の前で言わなければならない」 「はい!私ユウヒ・イチミヤは生涯レイナ・フローティアを愛し、喜び悲しみ苦労を共に分かち合い歩いて行くことをここに誓います」 アシュレイは頷きレイナを見る。 「私レイナ・フローティアはユウヒ・イチミヤを愛し、喜び悲しみ苦労を共に分かち合い、共に歩き幸せな家庭を築きます。そして…フローティア王国の民の為ユウヒ様を助力し更なる繁栄を誓います」 会場から拍手喝采が起きた。 アシュレイが手を挙げると静まりかえる。 「ユウヒ、そしてレイナよ皆の祝福が聞こえたか?ここにいる皆が証人となった。我が使徒ユウヒよ、汝の功績は誰もが知ることではあるが…しかしそれは汝一人で達したものではない。周りの協力があったからこそ成し遂げることができたのだ。それを忘れてはいけない」 「はっ!しかと胸に刻みます」 「よろしい。命の女神アシュレイの名の下に二人の結びを祝福しよう」 辺りが一気に明るくなり天使達が空を舞う。 「では誓いのキスを」 レイナと向き合いヴェールを上げ肩に手を置き…キスをした。 再び会場から拍手が起きる。 「しかと見届けた。ではさらばだ」 アシュレイに光が降り一瞬眩い光の後、羽が舞い消えた。 「ふぅ…派手な演出だな…」 「ふふっ、でも綺麗でしたね。一生に残る素敵な式になりましたわ」 俺達は席に座る皆に向けお辞儀をし、二人並んで会場を後にした。 そのあと、会場を城内に移し披露宴を催し楽しい一時を過ごした。 アシュレイの神々しい姿に感化されたのか、貴族の間にアシュレイを信仰するものが現れたのは当然か。 披露宴も終わり、レイナの部屋に嫁一同が揃った。 「レイナ様…」 「どうしたのサラちゃん?」 「実は…カクカクジカジカ……があって…」 実に便利なカクカクジカジカ! 「ふふっ…流石ユウヒ様!もう素敵すぎます。それにミレイさんの事…良かったですねサラちゃん」 「グスン……ありがとう…ございます…」 「夜は大丈夫。いつでもできますから。形式に拘る必要なんてないんですよ!むしろ私がベッドに縛りつけて寝かせます!」 「レイナ…優しくな…」 「そ、そういう行為じゃありません!」 「ははは」 「もう!ユウヒ様ったらぁ…」 レイナはサラを抱きしめた。 「サラちゃんが今まで頑張ってきたからユウヒ様もそれに応えてくれたんだと思います。これから一緒にユウヒ様を支えていきましょうねサラちゃん」 「はい!レイナ様!」 「そんな事言ったらユウヒが調子に乗るわよ」 「ちょ⁉︎アイラ…それ酷くないか?俺の傷つくけど…」 「ユウヒの心はオリハルコンやミスリルに神獣の守りをつけた位に頑丈だから大丈夫」 「ガーンっ…」 「ふふっ、がーん…て、自分で言う方初めてみましたわ。ユウヒさん」 「て、テレサまで…」 「ご主人様…こんな時…ご主人様の故郷では…ドンマイ!…だったかしら」 「シェリー…グスン」 イジメられてる俺の所にマナが来た。 「ま、マナは違うよな?流石俺の天使…ん?」 マナが黒板を見せてくる。 【ご馳走を屋敷に持って帰りたいです】 ………マナは皆の天使だった… 「…うん…手配するね」 マナは満面の笑顔。 俺は白く燃え尽きた。 「ユウ君。改めておめでとう」 「旦那様。明日は私達の結婚式楽しみですわ」 谷間全開の衣装のレイチェルと、綺麗な脚をスリットから見えるフラウが話かけてきた。 「お、俺の女神は…二人だけかな…」 「おかしなユウ君」 「旦那様の為にレイチェルと今日は私の部屋で特訓する為に、一晩お借りしますね。ではおやすみなさい」 ……あぁ…現実は残酷だ。 その場はお開きとなり、レイナと風呂に入りベッドに一緒に入った。 「さぁ寝ましょうユウヒ様。おやすみなさい」 レイナは俺の腕の中で幸せそうに目を瞑った。 「ごめんなレイナ。おやすみ」 しばらくして眠気が襲ってきた頃…寝返りをうったレイナが少し震えていることに気づいた。
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