♯10

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式が始まり次々に嫁達が赤いカーペットの上を歩いてくる。 それぞれの衣装は自分で選ばせた為初めて見る。 周りから見れば俺は好色男と見られているかもしれない。 それでもいい…。それぞれに出会いがあり、愛を育んできたのだから。 サラの付き添いとしてミレイもいた。 顔は元通りになり笑顔も見せていた。 それぞれの宣言 涙した… これから俺はこの素敵な女性達を守っていく。 そう改めて誓った。 披露宴 席はそれぞれの身内と嫁が同じ席になるようにした。 俺はミレイの治療であることを思った。 「マナ」 マナに近づくとそこには酒場のおばさんやノエルにペティもいた。 「久しぶりだね兄さん…いや領主様」 「「ご結婚おめでとうございます!」」 「ありがとう。それに今度酒場に顔だすよ」 「ああ待ってるよ」 「領主様…今度は私達も可愛いがって下さいね」 「ふふ、マナも一緒にな」 二人はマナの侍女として同じ屋敷にいる。 スフィアの屋敷には平屋の普通の家を嫁の数だけ作った。 マナをこちらに遊びに連れて来たときは三人仲良く相手したりする。 ノエルとペティにはお給金とは別に手当をあげているので…問題にはならない…のか…。 「で、マナ。ミレイが元の姿に戻ったのは知っているな?」 マナは頷く。 「俺の見解じゃ…マナの声…戻るかもしれない」 マナは目を開き驚いていた。 「落ち着いたら…俺も付き添うから…治療してみないか?」 マナはパタパタとこちらに来て抱きついてきた。 「よかったねマナ。それに…いい人に巡りあえて…」 おばさんもハンカチを手に泣き出した。 「それじゃまだまわる席もあるから…マナ、楽しみにしておいて」 俺からマナが離れ小さく手を振ってくれた。 「レイチェル」 「あらユウ君」 「本日は御出席いただきありがとうございます、お義母様」 「いえ…こんな世間知らずな娘を貰っていただき…嬉しいです…」 「もう!お母さん!もう大人だよ!」 「あんたは私から見ればまだまだ子供だよ」 「ふふ、たいしたおもてなしもできませんがごゆるりとお過ごしください」 「ありがとうございます」 「では」 「テレサ」 「ユウヒさん」 テレサの身内はいない。が、俺はテレサに付いていた帝国時代の侍女を見つけ何人か雇ったのだった。 「私…凄く嬉しいです。ユウヒ様が私の為に仲の良かったばあや達を…」 「領主様…テレサ様を動乱の中御守りいただき…そして再会させていただき…ありがとうございます」 「良かったなテレサ。なかなか見つけるの大変だったけど、テレサの為だからやれた」 「ありがとうございます」 「しかし領主様…私達も…裏方としてお手伝いをしなくてもよろしかったのでしょうか…」 「かまわないよ。テレサの大好きな貴女達はテレサにとって家族だ。だから一緒の席で祝ってほしい」 「わかりました…。ご結婚おめでとうございます、領主様やテレサ様…そして一族の皆々様に御多幸があらんことをお祈りします」 「ありがとう。テレサ、またあとで」 「はい!」 「おお!やっと来たか」 「お待たせしてすいません王様」 「よいよい。…フラウのこと…心から礼をいう」 「いえ…レイナ様のみならずフラウ様まで…臣下である私が…」 「いや。王国の繁栄と…何より…娘達が幸せならそれで良い。何人か苦言を言って来た者もいたが昨日のアシュレイ様を御拝謁した後から何も言ってこなくなった。それにユウヒ殿の王国に対する貢献は誰にも成し遂げることはできないだろう」 「恐縮です」 「王様の言う通りですわ」 飲み過ぎている王様の杯を奪い王妃様が御礼を言ってきた。 「レイナを助け、フラウの心を開かせ城に閉じ籠もっていたフラウに活力を与えてくれて本当に感謝していますわ」 たぶん…たまに抜け出し城下で食べ歩きしていたフラウのことは知らないのだろうな。 「恐縮です」 「レイナ、フラウ」 「「はい、お母様」」 「ユウヒ様を助け仲睦まじく暮らすのですよ」 「「はい!」」 「ところで…孫はいつ見れるのかしら?」 「お、お母様!」 「毎日励んでいますので…来年には…」 「そう!…二人ともユウヒ様を満足させているかしら?」 これにはレイナやフラウも赤面し飲み物を噴き出した。 「はい!とても尽くしてくれて…骨抜きにされてます」 「まぁ…」 「ちょ…ユウヒ様…」 「…旦那様が絶倫すぎるだけですわ…」 「ふふ、安心しましたわ。二人のことどうかよろしくお願いしますね」 「はい!」 「ナンシーさんもユウヒ様に嫁いだらいかが?」 ブフっ ナンシー先輩も飲み物を噴き出した。 「わ…私は…」 「うむ、可愛いい姪っ子がどうしてもと言うなら…あの馬鹿をわしが説得するぞ」 「王様…。しかし私にはフロスト領の民を見捨てる訳にはいきませんので…」 「あの馬鹿がしっかりしておけばよいことなのだがのぅ…姪であるおぬしが可哀想じゃ」 なるほど…家同士が仲の悪いっていう訳じゃなく…兄弟だから悪いのか… 「しかし…この街を少し見て歩いたのですが…素晴らしい領地経営をされていると思いますわ。ですのでしばらくこちらに滞在させていただいて勉強しようと思います」
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