♯10

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あれから二ヶ月。 あの夜の次の日、腰を摩る嫁達をお風呂に連れて行き労ってあげた。 アイラからは「次も激しいの期待しているわ…あなた」と言われた… そして…レイナとアクアに妊娠の兆候が見られ、シュリンに診察してもらうと、妊娠していることが判明したのだった。   シュリンから聞かされた時は本当に嬉しくて涙が出た。 その後は御礼もかねてシュリンを抱いてあげたがな… シュリンには定期的に診察してもらえるようにお願いした。 今日は王都に来て王様に懐妊の報告と、ナンシー先輩の実家に行って話す予定だ。 王城に行き報告すると…飛び跳ねて喜ぶ王様。しかし王妃様に叱られ大人しくなった。 そして… 今はフロスト領のナンシー先輩の屋敷に来ている。 門の所で門番に話すと、少し待たされ中へ入れてくれた。 玄関を潜ると意外と質素な内装である。 「お待たせしましたドラグーン伯爵様」 ドレス姿のナンシー先輩。 「いえ、突然の来訪申し訳ありません。当主様は…お会いすることはできないでしょうか?」 「…その…申し訳ありません…。父が…会いたくないと…」 ですよねぇ… 「すると…スフィアで研修の件は…」 「父に話したのですが、頭ごなしに反対されました…。そんなことより…お前は早く嫁に行って子を産め…と…。私…悔しいです…」 ナンシー先輩は涙を浮かべる。 「少しお話しませんか?」 「えぇ…」 庭にでて東屋の椅子に座る。侍女に紅茶を用意してもらい御礼を言った。 「ふふっ…伯爵様は優しいのですね。侍女も驚いた顔をしていましたわ。この家の者はいつもカリカリしていて…嫌気が差します…もういっそ、縁を切りどこかへ行ってしまおうかと最近思ってしまいますわ…」 「でも民を見捨てられない?」 「えぇ…何の取り柄のないこの領地に住んでいる民の暮らしは他の領地に比べると…かなり低いんです」 「公爵領なのに」 「昔…金があるかもしれないと噂された鉱山に目をつけた父が、公爵となる時にこの領地を王様から受け賜り…いざ鉱山を掘ってみれば…鉄や黒く燃える石しかでなかったのです。金でなくても、宝石の類でもでれば領地は繁栄していたのですけどね…」 燃える石…石炭か?… 「その採掘した鉄等は?」 「他の領地に輸出していますよ。ただし…そこまでいい鉄ではないのです。不純物が多い為安く買い叩かれています。それでも売らないと領地を維持できません。精錬の技術を取り入れようと相談しましたが…女のお前が意見するな!と…一蹴されました」 人払いをしているため、ナンシー先輩は素直に答えてくれた。 周りを探知しても人はいない… 座っているナンシー先輩に立って近寄り、頭を優しく抱きしめ撫でた。 「貴女は頑張り過ぎかもしれません。一度ゆっくりされた方がいい」 「…確かに…学園から出で…ゆっくりする暇もなかった。伯爵様の素敵な結婚式…そこで過ごした数日は…本当に楽しかった…」 「俺が顔を隠します。泣いても大丈夫ですよ」 「っ…ありがとう…。うぐっ…」 溜まっていたものが溢れるように、ナンシー先輩は嗚咽を漏らしながら泣きだした。 五分くらい過ぎたか… 「ありがとう…スッキリしたわ」 「化粧がくずれましたね…これ使ってください」 鏡付きの化粧箱を渡した。 「気が利くのね…だからあのお嫁さんの数…納得がいったわ」 「でもまぁ…好色ともよく言われます」 「ふふっ、私も思ったわ。でも違った…彼女達は仲が良さそうだったし…楽しそうだった。羨ましいくらい…」 「俺…何かに…そう、何でもいいから一生懸命何かを成すために頑張っている女性って素敵だと思います。ナンシー先輩も…俺から見ると…眩しくて…輝いています…」 「そ、そう…」 頬を赤らめナンシー先輩は俯いた。 彼女を解放してやりたいが…なかなか妙案が思いつかないな… 「そういえば伯爵様、模擬戦のお約束覚えていらっしゃいますか?」 「ええ」 「最近体を動かしていないので…軽く一緒にしませんか?」 「喜んで!」 立ち上がると屋敷へ向かい、先輩が着替えを済ませるまで待った。 ふむ…何か視線を感じる。侍女とかじゃないな…上手く気配を消しているようだ… 「お待たせしました。それでは修練場に案内いたしますわ」 また外に出て隅にある広場に向かう。 棚があり木剣や盾、槍などが置いてあった。
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