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…
「…お母様がアイラを見たら倒れてしまいますわ…」
街を出て馬車の中ではシェリーが頭を抱えていた。
「シェリー、今回の旅で成長しましたと伝えるしかありませんわ」
「お姉様心配しすぎです。私からちゃんと説明するから大丈夫です」
「そういえば三人はアルス国に用事が?」
「ユウヒ、レイナ様とお姉様と私はアルス国の催しに出席するためアルス国に行ってたの。まぁ実質あちらの国の殿方とのお茶会みたいなものよ」
「あー…なるほど」
「って!いつまで撫でてもらっているのアイラ!」
「お姉様、何か問題でも?」
「あるわ…交代よ」
!!
え、どういうこと?俺がシェリーさんを撫でるということか?
「今私は少しでも癒しが欲しいの」
シェリーは席を立つとユウヒの隣、アイラの反対側へ座る。
六人が余裕をもって座れる王族の馬車だけのことはある…って感心している場合なのか…
シェリーは俺の太ももに頭をのせてきた。
アイラを見れば、しょうがないって苦笑いをしていた。二人の頭を優しくゆっくり撫でてあげる。
しかし24年の付き合いからかアイラはアイラで揺るがないものがあるのだろう。
「私…向こうでは可愛いがっていただけましたけど…こちらではまだ初物ですよ?神様に聞いたら「あれも」元に戻っている仕様だそうです…」
俺の耳元でコッソリそんな爆弾発言を投下してきた…まずい…今太ももにはシェリーが…自制心…自制心…って神様とそんな話ができるくらい仲良しなのかよ
アイラは俺の腕に発育した形のいいものを押しつけてきた。
自制心…⁉︎頑張れ俺!!
「うぅ…ぁぁ…うぅ」
王女が仲間に入りたくて羨ましそうな目で見つめている。
それに気づいたアイラは席を立つと向かいの席に移り王女様の耳元で何かを囁いた。
王女様の耳や顔が赤くなるが意を決したのか、席を立ち「よ、よろしくお願いします」と言って横に座るなりもたれかかってきた。このままでは撫でられないので一度腕を上げ、王女様を片手で抱くような形になる。
アイラは面白いものを見るような表情をしていた。
楽しんでやがる…
しばらくすると二人からは寝息が聞こえてきた。
「アイラ…今日の夜修行部屋に来るか?」
つまりはお誘いである。
「え⁉︎いいの?」
小さな声で話かけたので小さな声で返してきた。話の意図はわかっているようだ。
「アイラがよければ…いや…違うな…俺がアイラを欲している」
何⁉︎
その表情!!
嬉しくて恥ずかしいけど、あまり表情に出さないように我慢…だけど微妙に出ている。
二人を放り出して今すぐにでも抱きしめたい…無理だが…
「わかった…ありがとね…凄く嬉しい…ダイスキ…」
いやまじ可愛いすぎ…若干大人びた綺麗な顔になってきた。
アイラは静かに席を立つと、スッと近づき軽く唇を合わせ…また席に座り窓枠に肘をつけ顔の赤さを隠すように外を眺めた。
何気にこちらで初めてのキスか…
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