♯4

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夕方、小さな街に着いた。ここは農産業が主であるらしい。 酒場からは活気のある笑い声。 豊かな暮らしがあるのだろう。 だが…それとは別にこちらを伺う視線があった。 「アイラ」 「うん、気をつける」 王女様とシェリーは俺達の会話を不思議そうに聞いていた。アイラに説明するよう目線を向ける。 「二人とも聞いて。この街に入った時からずっと違和感があった。でも今敵意のある気配を感じたの」 「王女様は一昨日襲撃にあった。その時は偶然かなと思っていたけど、もしかしたら誰かの指示で動いている奴らがいるかもしれない」 二人に緊張が走る 「でもこちらにはユウヒがいるし心配なんてしていないわ…ただ…」 「ただ?」 アイラは怒りのこもった目をしていた 「夜も警戒しないといけないから…せっかくの…」 あー…可愛いがってもらえなくなったのが悔しいのだろ… 「王女様にシェリー、泊まる所に着いてもなるべく一人で行動しないで欲しい」 「わかりました」 王女様は目を瞑って心配そうにしていた。 「大丈夫」 王女様の頭を軽くポンポンとする 「俺が守るから」 「は、はい!」 この街の唯一の宿に着くと、騎士達にも交代で見張りをするように伝える。 食事は毒物を入れられるのを恐れ、自分達で用意した。 そして今は部屋に戻って用意した桶のお湯で身体を拭いている。 ルームの修行部屋や別の通常通り時が進むルームの部屋に入ればお風呂に入ってさっぱりできるのだが、今は我慢 「ちっ…!」 サイレンサー付きの拳銃を天井めがけ発砲 パシュパシュ すると穴が空いたところから赤い液体が流れ落ちてきた。 急いで服を着ると女性達の部屋へ走る。 廊下にはアイラがいた。 「私はお姉様の所に」  「了解」 せめて三人相部屋にさせておくべきだったか。 俺でも直前まで気づかなかった。もしかするとプロの暗殺集団が関わっているのかもしれない。 王女様の部屋は三階にある。周りの部屋は騎士達で固めていたが… 階段を上がると廊下を見回っていたはずの騎士が血溜まりを作って倒れている。 気配を絶ち王女様の部屋に向かう。 パシュパシュ 部屋の前にいた黒服の二人を倒し扉の前に立つ。物音に気づいたのか中から音がしなくなった。 「コホンっ…あーお前らは包囲されている…」 ガシャん ガラスが割れた音 扉を蹴破り中にいた黒服達をクイックショットで鎮圧。一人だけは強力な麻酔弾で眠らせた。 窓に近づけば街の外方向へ逃げる黒服集団に下着姿の王女様 「アイラ!」 「ここに」 振り向かずとも、今一瞬でやってきたことがわかった。 「シェリーは無事か?」 「はい。部屋に入った時には桶を投げられ気絶した敵がいました」 「ははっ…。俺は王女様を追って助けに行く。皆は今すぐに街を出てくれ。どうもこの街全体が怪しい…」 まだそんなに遅くはない時間。しかし人通りは無く明かりもついていない… 「気をつけて…それと…」 背中にアイラの感触 「身体がうずうずしてるから今度はたっぷり可愛いがってよね…」 「わかった。一緒にお風呂で楽しもう」 窓から飛び降りあとを追う。 小さな街だすぐに街の外へ出た。 しかしそこには誰もおらず、闇の中遠くに馬の足音。 「こっちは森のほうか」 オフロードバイクを召喚。跨がるとエンジンをかけ走り出す。
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