22人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………なぁなぁ」
そんなことを思い出して、一人にやける唇の端を隠すのに必死になってるところに、上本の声が聞こえてきて。
「ん? 何?」
顔を上げたら、真剣な顔した二人が目の前に立ってた。
「…………どしたの」
「いつの間に仲良ぉなったん?」
「へ?」
「赤井くんと! 何や今の! にこぉーって。めちゃくちゃ可愛かったで!?」
今にも掴みかかってきそうな勢いの二人に苦笑を返してから、そっと君に目をやってみる。
君は相変わらず窓の外ばっか見てるのに気付いて、今度は違う種類の苦笑を浮かべてから。
「気になるなら話しかけてみればいんじゃないの?」
「…………えぇわ、それは」
「うん、それはエンリョしとくわ」
「なんで?」
「なんかだって、……なぁ?」
「うん。話しかけにくいやん」
なぁ、と顔を見合わせて頷き合うのに、やれやれ、と溜息を一つ。
「別に話しかけにくくないよ?」
「そら自分はえぇわ。急に仲良ぉなってんねんもん」
むすぅっ、とした顔の二人に、悪いと思いつつ小さく吹き出した後で、二人に小突かれた。
最初のコメントを投稿しよう!