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オレが声を掛けるからか、少しずつ朋弥もクラスに馴染んでいって。
オレじゃない誰かと、教室の中で笑うことが増えて。
それにホッとしながら、だけどどっかで息苦しいのは。
オレが、笑顔を独占してたいからなんだって、そんな傲慢に気付いて苛ついて、重症だよ、なんて小さく嗤う。
「あいざー」
だけど。
そうやって、楽しそうに呼びかけてくる声は、どうしても嬉しい気持ちだけ呼び覚ましてくれるから。
「何?」
バカみたいに、笑い返す。
どうしても好きだから。
どうしても愛しいから。
どうしたって、大好きだから。
子供みたいな感情を持て余しながら、笑顔で接するのは結構きついけど。
返ってくる笑顔は、全て取り払えるだけの喜びを与えてくれるから。
「…………ホントに重症だね」
「ん? 何か言った? 恐い顔してさ」
「別に」
覗き込んでくる幼い心配顔に、ゆっくり笑い返してから、気付かれないようにこっそり溜息を吐いた。
いつか、抑えきれなくなったらどうしよう?
この気持ちを、抑えきれなくなったらどうしよう?
だけどね、もう。
案外、限界は近いような気がしてるんだよ。
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