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昼休みになると、君は決まって姿を消す。
何処に行くの、なんてさり気なく聞いたりとか、後を尾行(つ)けてみようか、とか。
思ったけれど、結局は出来ていないまま。
大して仲が良いわけでもないのにそう言うことしたら、なんとなくウザがられそうな雰囲気が、君にはあったから。
だけどいつも、決まって後悔するんだ。
君の姿が教室から消えて、廊下からも消えた時に、やっぱり後を尾行けるんだったとか、声を掛けるんだった、とか。
そう思うたびに女々しさを嗤ったり、凹んだりしてた。
自分らしくない、なんて考え込んでは、やっぱり明日はどうにか動いてみよう、とか考えたりする。まぁ、結局何も出来ずじまいなんだけど。
だけど。
ここまで考えてから、いつもハタと我に返るんだ。
何でオレは、こんなにも君のことを考えてるんだろう、って。
新しいクラスに馴染めないって言うよりは、馴染もうとしない君を、心配してるんだろうか。だとしたら自分のお人好しも相当だ、なんて笑ってみるけど。
そう思うたびに、胸の奥の方に小さくて、でも鋭い痛みが走ったりする。
違うよって、小さく悲鳴上げてるような気がする。
だけど、違うんだとしたら一体何? なんて首を傾げて。答えはわざと見ないフリしたりして。
なんとなく、気付いたら苦しくなるって、知ってるんだ。
その痛みの原因に気付いたら、苦しくて辛くて、もっと痛くなるって、分かってるんだ。
情けない自分をそっと笑った後で、もうしばらくだけ、気付かないフリをしていよう、なんて考えてた。
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