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昼休みに君の笑顔を見つけた日の放課後。
「----昼休み、ずっと屋上行ってんの?」
「ぇ?」
下駄箱で君を見つけて、思わず声を掛けたオレに。
君は心底ビックリしたって顔をしながら、だけどゆるりと微笑って頷いてくれる。
「うん」
「オレも今日、初めて屋上行ったんだ」
「……知ってるよ」
「へ?」
意外な言葉に、今度はオレの方がビックリしてたら、君が楽しそうに----イタズラが見つかった幼稚園児みたいな無邪気な顔で笑った。
「知ってるよ」
*****
呆気にとられたみたいな君の顔がおかしくて笑ってたら。
君は、オレの顔をまじまじ見つめた後に、とてつもなく優しい顔をした。
「そうやって笑うんだ」
「……どういう意味?」
「屋上でも笑ってたでしょ?」
「……」
「教室の中で笑ってるトコ、見たこと無かったから」
「ぁ」
どうしてそんなことを知ってるんだろう、なんて思う先で、君がにっこりと、女子がキャーキャー言う顔をして笑った。
「教室でも、もっと笑えばいいのに」
屈託のないその笑顔と言葉とに、思わず吹き出す。
「そういうのって、女の子に言うことじゃない?」
「そう?」
「うん」
2人で顔を見合わせた後に、同時に吹き出して笑う。なんだか三流の青春ドラマみたいに思えたけど、別に気にならなくて。
気付いたら二人で歩き出してた。
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