第三章 外乱者

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そして二十二日目の夜、その日最後の手合わせ。 激しく木刀を打ち付け合う最中、リースの大振りの薙ぎ払いを身を低くして躱したノーティス。 「甘い!」 ――ここだ。 抜刀の姿勢からの斬り上げを放とうとした時、ノーティスは気付く。 何故、まだ彼の腕が私の上に? 身を屈めた状態で繰り出されたノーティスの得意技。普段に比べ高さの低いその剣筋をリースはすんでのところで跳躍して躱す。 「――!」 あの大振りの薙ぎ払いはこの為の―― 空中で左脚を振って勢いを付け、体を捻って右脚でノーティスの側頭部に蹴りを放つ。 ぱぁんと演練場に乾いた打撃音が響いた。 「あ……」 「ノーティス、ごめんなさいね……」 やってから後悔したリースの耳に届いた微かな謝辞。 足の甲がこめかみを捉えても、彼の頭は揺らがない。 そして訪れる静寂。 「……痛いなぁ。久々だ、こんなにいい一撃を貰ったのは。それも剣ではなく蹴りとは。ははっ。」 「すみません!模擬戦なのにあんな……」 「謝ることなど何も無い。全力で挑めと言ったのは私だ。最近の君の剣は剣舞のそれに寄っていたようだが、何か見つけられたようだね。合格だよ。」 「……ありがとうございます!」 「そして丁度明日、君の、そしてギルドの仕事が入っている。百聞は一見に如かず。覚悟はあるかな?」 「はい、やってみせます!」 「よろしい、では上で明日の説明が始まるまで、少し魔物の話をしようか。」 「魔物の話、ですか?」 「敵を知る事は戦いの基本だ。」 そういえばアスタルテも魔物についてその種類や名称は詳しくは知らず、ゲシュテルンで調べてくれと言っていた。昨日矢を放ってきた骸骨は何と呼ばれているのだろう?
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