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翌朝。
「ご馳走様でした!」
開店前のロメルネ料理店で温かい朝食を平らげる。
「えっと……リースくん、今なんて?」
聞き慣れない言葉に首を傾げたのはシルトの妻、ヒュムネだ。
「あぁ、これは食事後の〈ありがとう〉なんです。それじゃあ、行ってきます!」
「あらそうなの。いってらっしゃい、あんまり張り切りすぎないようにね。」
ヒュムネが店前まで出て来て柔和な笑顔と共に送り出してくれた。
こんな朝を夢見ていた。誰かに作ってもらった朝食を食べて、温かく送り出してもらえる、こんな朝を。
心も軽く、開店準備で忙しない南通りを駆け抜ける。
ギルド、ヒルフェ・シュトラールは、街を回った時に見かけはしたが改めて見ると無骨な外観だ。
壁面に旗や紋章等はなく、入口の横に看板があるのみだ。
少しの緊張と期待を胸にドアを開ける。
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