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そこからはひたすらな施行と改善の連続だった。
半月が過ぎてもなお二人の剣は交わる。
斬撃の角度、緩急、予備動作。
リースは剣道においてそうであった様に冷静に自身を分析し、改良を重ねていく。
ヒュムネの温かさで、打ち解けたギルドの面々との他愛ない話の中で初めて感じる感情で、そしてアスタルテとの互いの世界の話で心の穴を埋めながら成長する彼は、初の手合わせから僅か三週間でノーティスを捉えつつあった。
二十一日目の夜、いつもの様に身体の至るところに青痣を作ったリースはベッドに飛び込んだ。
「やっぱり、決め手に欠けるなぁ……どれだけ突き詰められても、最後の一手はどうしても見抜かれる……」
「リース、型にはまってない?」
「え?」
不意に投げられた言葉に呆気に取られる。今日まで拙くも自分なりの剣を作り上げてきたつもりだった。
「私、戦いの事はよく分からないけれど、今あなたがノーティスとやっているのは戦いの稽古であって剣舞の稽古ではないのよね?」
「そうだね。」
聞いてすぐはアスタルテが何を言いたいのか理解しかねたが、わざわざ剣舞を引き合いに出した事を思えばその意味を理解することが出来た。
「そうか……ありがとう、おやすみ!!」
「おやすみなさいリース。……あれ、私何か悪い事を教えたような気が……」
「まぁ、ノーティスもきっと許してくれるわよね。」
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