第三章 外乱者

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「先日、隣町のギルドから支援要請を受けた。なんでもゲシュテルンと隣町を隔てるミュルベ山を貫くトンネルが魔物に塞がれて占拠されているらしい。ゲシュテルン内のキャラバンからも今朝同じ旨の依頼があった。よって急な話ではあるが明朝に奪還作戦を決行する。」 シルトが壁に抱えていた紙を広げて貼った。どうやら占拠されたトンネルの見取り図らしい。 真っ直ぐに伸びたトンネル。 その両端はどちらも僅かに扇状に広がっているがしばらく中へ進んだ所で黒い線が書き込まれている。 「トンネルの全長は八百メートル。魔物は両方の入口を二百メートル程進んだ位置を岩で塞いでいる。塞がれた中の状況は分からないが恐らく魔物が出現するのに理想的な暗闇になっていると思われる。近頃ミュルベ山周辺で魔物の目撃情報が多いのもこれが原因だろうな。」 魔物がトンネルを意図的に封鎖している。敵が知力を有している事をより強く実感せざるを得ない。 「作戦はゲシュテルン側と隣町側から同時に開始する。青の煙弾が上がったら攻撃開始だ。 最初に弩兵による遠距離からの攻撃で敵の白兵戦力を削ぐ。この際剣士は骸の攻撃から弩兵を防御だ。 次いで剣士が弓兵、弩兵の支援を受けながら前進、塞がれた地点まで制圧する。工作兵の爆薬設置が完了し次第、トンネルの外に退避、両側から緑の煙弾が上がったら発破だ。 突破口が開いたら突入部隊は暗視ポーションを服用してから弓兵、剣士、工作兵の順に突入。工作兵はグロウストーンパウダーを散布。これにより最低限の明るさを確保しつつトンネル内の魔物を殲滅する。この間弩兵はトンネルの外からの奇襲を警戒してくれ。弓兵は突入時以外は壁沿いに進め。剣士が側面に回り込まれるのを防ぐのが仕事だ。トンネルの中は大量の魔物との戦闘が予想される、負傷した者は迷わず後退しろよ。何か質問のある奴は居るか?」
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