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「あい。」
剣を背中に掛けた男が手を挙げる。
「ん、タオべ言ってみろ。」
タオベと呼ばれた男は真面目とも不真面目とも取れる微妙な表情で質問する。
「晩飯までには帰れます?」
真剣な気分でいたリースは肩をすかされた。
「全く、お前はママがそんなに恋しいのか?だが質問としては悪くないな、暗視のポーションの持続時間は大体八分間だ。身体への影響もあるし追加服用するつもりはない、ちゃちゃっと片付けてオウチに帰ろうな、ボク。」
「了解です。あ、俺が恋しいのはばーちゃんです。」
「やかましいわ。あぁ、言い忘れてたが万が一稀人が現れたら報告の後に直近のバディで対処しろ、決して深追いはするな。勝てないと思ったらすぐに逃げろ。いいな?」
「了解。」
「おう。」
「あいよ。」
先刻までタオべとシルトのやりとりに
へらへらとしていた男達は稀人に関する指示で一変して真剣な表情を見せる。
その様子から稀人が如何に脅威なのかを感じた。
「他に質問はねぇか?なら、説明はこれで終わりだ。朝の四時にまたここに集合だ。各自、ちゃんと準備しとけよ、んじゃ解散!」
リースにはかなり大雑把な作戦説明に感じたが、彼らにとってはいつも通りの事のようで各々に席を立ち始めた。
集まっていた男達が準備の為にギルドを後にする。
「ちなみに、君のペアは私だ。よろしく、リースくん。」
「……! よろしくお願いします!」
ノーティスがペアなのはとても心強い。だが、二人で稀人と対処しなければならない自体はあって欲しくはない。帰路に付くノーティスを見送り、シルトが事務を終わらせるのを一人、広間の机に腰掛けて待つ。
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