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息を切らせてスラムの路地を駆け抜ける。ゴミの山を飛び越え、屋根に登り、とにかく直線的に駆ける!
屋根から飛び降りてゴミの山へ着地成功!
流石にここまで逃げれば……
「ここにいたぞ!」
「げっ」
騎士の姿を確認した後、一瞬で踵を返し、逃げる決断。腕章が犬のマーク。つまりは警察みたい。
「やっぱり殴ったのがまずかったかなぁ……」
でも、グーじゃないよ?パーだよ?まあ、殴ったことに違いはないけどさ。
と、なるとやっぱり貴族を殴ったから?
でもあれは正当防衛だし、私は悪くない!
数時間前、平民街へ行った時、何かといちゃもんをつけて無銭飲食をする貴族がいたから、私がそれを指摘したの。そしたら「平民如きが俺に文句つける気か?」って言われて殴られそうになったから頬を平手打ちしたら、丁度そこを警察に見つかったから逃げただけだよ?
うん。だんだん自信がなくなってきた。
そもそも革命軍なんて名乗ってるのもダメなんだろうなあ。まだ1人しかいないけどね。
「それにしてもしつこいなぁ、もう!」
「大人しく捕まれコラァ!」
「ひぃ?!もうほとんどヤクザじゃん!?」
よく見たら顔にキズあるし!顔もなんかすっごい悪人面だし!すごく警察っぽくない!
とにかく悪人面警察を撒く為に複雑に入り組んだ路地を適当に曲がっていくも、警察の声はしつこく追いかけてくる。
てゆーかもう足限界に近いんだけど!?何で今日に限ってスラムまで追っかけてくるの!?
「ひぃぃ、もうダメー」
直後、服が引っ張られ、宙に浮く感覚が身体を襲った。とうとう捕まっちゃったっぽい?
「ひゃあー!!私は食べても美味しくないですどうか見逃してくださいぃぃー!!」
「静かにしろ、追っ手に気づかれるだろーがライザ!」
「へ?」
聞き覚えのある声に目を開けると、下にココがいた。不良そうな見た目に、馬鹿力。幼馴染のココだ。通路を走ってた私を槍で引っ掛けて屋根の上まで持ち上げたらしい。
ん?槍で?
「ちょっ、槍でとか信じらんない!服破けたらどうするの!?」
「今下ろすからちったあ黙ってろ!」
「姉さん、大丈夫?」
穴の空いた屋根からニアが顔を出した。相変わらずの無表情で背中に矢筒を背負っている。紛れもなく私の可愛い妹分だ。
「で?どうしてこうなったんだ?」
「えっと、それは……」
私は事の一切を2人に話すこととなった。
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