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「間もなく、電車参ります。黄色い線の内側までお下がり下さい。」
男は、聞き慣れたアナウンスの声で目を覚ました。
目は覚めたが、頭がまだぼんやりとし、思考が追いついてこない。
ここは駅のホームか…?
男は周りを見渡し、自分が駅のホームのベンチに座っているのを確認した。
何故だ…?俺は山道にいたはずだ…。
空はまだ薄暗いが、日が昇り朝が来たことを告げている。
男は、腕時計を確認してみた。時計の針は5時を指していた。
あれから、一時間の間でここまで辿りついたのか…?
俺が眠っている間に…?
そんな事はあり得るのか?
男が混乱しているうちに、始発の電車がやって来た。
男は混乱しながらも、電車に乗り込み、がらがらのイスに崩れ落ちるように座った。
男は、ハッと起き上がると駅名を確認した。
駅名は、自分が降りる駅から4つほど離れた駅であった。
終点では無い…何故、俺はこの駅で降りていたんだ…?
何故、あんな山奥にいたのか…。
何故、意識がないうちに駅に着いていた…?
もしかしたら、俺は夢遊病なのか…?
それなら納得はまだ出来る。
男が考え、納得し始めた頃には、電車は動き出していた。
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