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残ってしまったリンゴをラップで包んで冷蔵庫に入れて。水の入ったペットボトルと、新しい冷えピタを持って部屋に戻ると、朋弥はすっかり眠っていた。
苦しげな寝息。
それでも、つついた位じゃ起きそうにないかな、なんて思ったのは、ペットボトルを机に置き損ねて、ぼとんっなんていうデカイ音を立ててしまった後。
良かったとホッとしながら、もう冷たくないと文句言ってた冷えピタを額から外して、新しいものに貼り替えてやる。
「ん……」
「ッ」
小さく漏れた吐息に、ギクリとしたのは、起こしてしまったかも知れないと、思ったせいだと言い切りたかったけれど。
そんなことで片付けられない胸の鼓動に、何の言い訳も思いつかなくて。
(……しょーがないよ)
好きなんだから。
心の中で小さく呟いて苦笑してから。
よく眠っている朋弥の、紅い唇に唇を寄せた。
(早く治るといーな)
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