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オレも行くと言った朋弥の一言を、バカじゃないの、の一言で却下。
薬飲んだから平気と言い張るのを、無理、の一言ではねつける間。
お昼ご飯にとリンゴを剥いて、あっためて麺さえ入れれば食べられるようにした、うどんを用意して。
薬を飲み忘れないようにと目立つところに置いてから、沸かしておいたお茶をポットに移して、自分の分にと勝手に出した湯飲みに注ぐ。
「なー」
「何? 今日は休まなきゃ駄目だよ」
「……あのさぁ……」
「……何?」
「……なんでここまでしてくれんの?」
「……」
よれよれと台所に出てきて床に座り込んだ朋弥に、上目遣いでそんなこと言われてギクーッとなった。
下心なんて無かった。絶対。
----でも。
昨日、オレは結局。
じっと見つめられて、気まずく目を逸らして湯飲みに口を付けながら、それは……、なんて言葉を濁す。
「なぁってば」
「…………とりあえずさ。布団戻れば? 酷くなっても知らないよ」
「いいよ、そんなん気にしなくて」
「いくないでしょ」
ほら、なんて追い立てようとした瞬間
「--------オレのこと、そんなに……好き、なの?」
「っ!? ----あつっ」
そんな風に言われて、湯飲みごとお茶を床に落とした。
朋弥の声が震えてたなんて気づきもしないで、何言ってんだよって笑おうとしたけど。
割れた湯飲みのカケラを拾おうとして、朋弥がゆっくり笑ってるのに気付いて。
何、って。ゆっくり朋弥を見つめたら、熱で紅い顔しながら、ふわっと笑う。
「バーカ」
くすくす笑った後で
「……どーせなら、起きてる時に……キスしてくれたら良かったのに」
「な……」
「そしたら----こんな、恐くなかったのに」
熱のせいだけじゃなく潤んだ瞳に見つめられて、我慢できずに抱き寄せた。
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