26人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほらー、早く席着けよお前らー」
うだうだ言いつつも席に着く生徒達に、うんうん、と一人教壇で頷く。
クラス替えがなかったので、クラス内に大きな変化はない。
確かに個性の強いヤツだっているし、ちょっと派手なヤツもいるけど、話してみれば、みんなちゃんとイイ奴らで。
自分も案外に慕われているんだろうと自惚れられるくらいには、うち解けていると思う。
「そう言えば先生、新しい先生が来るんだって?」
「あー、うん。何、ドコで聞いたの? 情報早いね」
「若い女の先生だったらイイのになー、センセv」
「何言ってんだよ」
愛あるからかいに、愛ある笑いを返す時に、そう感じたりするから。
案外に向いてたんだな、なんて胸の内で苦笑してから、とにかく、と騒がしくなった教室を一度静まらせて。
「新しい先生が男か女かなんてどっちでもいいから。この後始業式だから、みんなちゃんと体育館行くんだよ、解った?」
一通りの文句を最後まで聞かずに、ホームルームを終えて教室を出る。
(いっつもアイツらは一言多いんだよなー)
やれやれ、なんて苦笑混じりの溜息を吐いてから、一足先に体育館に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!