26人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
始めの頃は戸惑いや、不慣れな部分もあって大変だったけれど、最近ではようやく学校にも慣れてきた。
いちいち案内図を確認しなくても校舎内を歩き回れるようにもなった。
当初は好奇心丸出しの女子生徒ばかりに声を掛けられていたけれど、最近は男子も気軽に声を掛けてくれるようになった。
職員室でも、きちんと目を見て話せるようになったし。
何よりも。
「ぁ、そだ、とも----赤井センセ」
こうして気安く話しかけてきてくれる同僚が----友人が、出来た。
同い年で、席が隣で。ノリは学生の頃と似ているような気がする。けれど、職員室では一応、体裁というものを取り繕っていた。
お互い“先生”づけで呼び合うことが、なんとなく気恥ずかしくて、呼ぶたびに苦笑してしまうけれど。
「はい?」
「明日、全校朝礼の準備に割り当てられてるんで、少し早めに来てもらえます?」
「…………オレ一人?」
「いや、オレも一緒。と……赤井センセ一人じゃ解んないでしょ?」
「……うん」
「じゃ、忘れないでね」
「はい」
小さく笑い合ってから、それぞれに仕事を片付けて、先に終わった方が「お先に」と声を掛けて帰る。
心地良い関係だった。
最初のコメントを投稿しよう!