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「せんせー、バイバーイ」
「コラ、さよーならくらい言えよ、高校生なんだからっ」
「いーじゃんねー」
「ねー」
笑い合う生徒達に苦笑しながら、気を付けて帰れよと声を掛ける。
「あっ。朋弥先生もバイバーイ」
「……朋弥先生って、なんかちょっとヤなんだけど」
「いーじゃん可愛くてv」
「……可愛いって言うなっ」
「かわいーv」
きゃーv なんてからかわれてる朋弥に目をやると、照れて目元を紅くしながら、ブツブツ怒ってて。確かに可愛いかも、なんて思ってから、ハタと我に返る。
(だから! 何可愛いとか思ってんだよオレは!)
着任式の時と言い、今と言い。ホントにオレおかしくなったかな、なんて思いつつ朋弥の方を見れば
「大体、バイバイとか言うなよ。なぁ、相ざー先生」
むすぅっと膨れっ面で同意を求められて、吹き出すのと同時に胸の奥の方が跳ねるのに気付いた。
(ヤバイわオレ。マジでおかしい)
笑うなよ、と怒る顔まで可愛いと思うんだから、可笑しくないなら一体何なんだろう。
「まぁまぁ、とにかく。早く帰って宿題しろ、宿題」
「えー、ダルイし。絶対嫌」
「お前ら明日絶対当ててやる」
「ひっどーい、オニっ」
「何とでも。行こ、と……赤井センセ」
「オレも当ててやるからなー」
いーっ、と歯を剥く姿まで可愛いって、どうかしてるよオレは。
そんな風にゲンナリしながら、まだ文句言ってる生徒はサッパリ無視して職員室の席に着く。
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