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でも、C区の技術開発を受け持つ会社や工場は、金になるのならば、どんなところにでも売り出そうとしている。けれども、今では世間と国のためを優先して会社イメージのために奈々川さんに協力をしているだけなんだ。
悪いことをしようとしているのは僕たちだけじゃないが、きれいごとをやっていないといけない社会になった。
だけど、勿論C区の技術を非合法で海外に流すと、日本の国は更に衰退していっていしまう可能性がある。
それは特許だ。
横流しの場合は特許が相手が持つようになってしまい。利益に大いに影響がでてくる。日本の企業がもともと特許を持っていても、僕たちが海外で売ってしまうと、どっちが先に技術を開発してきたかで相手の企業が裁判をしたりと大変だ。
さっき電話にでた坂本 洋子は産業スパイのようなことをしたんだ。
簡単にいうと、僕たちがC区の企業の秘密情報を勝手に坂本 洋子を使って持ち出し、自分たちの利益のために海外に安く売りさばいてしまうのだ。
恐らく、海外でもノウハウが活躍するこのご時世じゃ、他企業も狙っているんじゃないかな?
それと、証拠もなにも残さない。……いつものことだ。
「ねえ? 本当に大丈夫なの? 顔色が悪いわよ。悪いことは密かにしていても、いつかは日の目にでるものよ……。今なら止められるわよ」
河守がいつの間にか、僕の席に淹れたてのコーヒーを置いてくれていた。本当に心配しているのだろう。河守がこんなことをするなんて……。
「ああ……大丈夫です」
八時半自宅。
アンジェたちは心配していた。
云話事帝都マンション48階のトレーニングジムの滅多に使わないサンドバッグを前に、僕は体中に大量の汗を掻いていた。
「雷蔵様~~。ヒレカツ定食は~~。後で~いいですか~~」
ヨハだ。
「雷蔵様。お体の調子はいかがですか? 今夜の夕食は胃に優しいもののほうが?」
マルカ。
「もう一時間ですよ。雷蔵様」
アンジェは心配の声を一際大きくした。
僕は一時間も続けていたサンドバッグを打つのを止めた。
グローブを外して、荒い呼吸を鎮められずにいると、ヨハがタオルを持って来た。
「ありがとう」
僕はぜぇぜぇと鳴る呼吸をし、汗をタオルで拭いていると、携帯が鳴った。近くの丸椅子に置いてあった携帯をアンジェが持ってきてくれた。
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