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僕はタオルをマルカに渡して携帯に出る。
相手は十中八九。原田だろう。
「こんばんは……あなたは死にますよ」
「原田なのか? え、いや、はは。間違い電話だよね?」
声色は女性だったが、何かの間違いだと思った。
「雷蔵さん。原田 大輔ならここにいますよ」
「君は誰? 原田はどうしたのかな?」
「ここにいます……」
僕は、「あっ」そうかと思った。
「坂本 洋子さんだね?」
「……そうです…………」
「どこにいるの?」
この人が九尾の狐と言われる女性なのだろう。
「本題に入りますよ……しっかり聞かないといけない。あんな危険なものを私に盗ませて、そして、お金もくれない。なら、命を狙うのが当然でしょ」
「原田がお金をくれなかった? どうして?」
僕の友人の原田は特進学院大学といって、エリートコース専用の大学の友人だ。そうだ、
河守も世代が違うが、たぶん同じ大学だったのだろう。
「ご機嫌よう……こんばんは……さようなら。原田 大輔はお金を持っていなかった。これからあなたを狙う。すぐにお金を用意してほしい。では、死なないように」
「え?」
僕はすぐそばのアンジェに目で合図をした。
アンジェたちには僕の家での全通話内容は筒抜けなのだ。
アンジェたちは腰のベルトにある小型拳銃を素早く取出し、戦闘モードになった。
ヨハだけは服を脱ぎ始め銭湯モードになった……。
早朝。
朝の6時起床入浴。
曇りの空の下で、昨夜の電話からアンジェたちは戦闘モードを、実に3年ぶりにしていた。ヨハは後で修理したほうがいいかもしれないが、アンジェたちのような正常な頭部は今現在は製造されていない。
僕はゆっくりとハムカツと玉子のサンドイッチを頬張った。
気持ちの上下が僕にはない。
いつもの日課のテレビをつけようとしたが、手が滑って間違えて云話事町TVのチャンネルを押していた。
「おっはよーッス!! 云・話・事・町!! TV―――!!」
「はいっ、藤元 信二です!!」
美人のアナウンサーがピンクのマイク片手に、曇り空の下でA区の街並みを背景に話し出した。隣の藤元は呑気に空を眺めたりしていた。
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