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「今日は大変おめでたいお話です。3年前の日本全土をひっくり返した野球の試合で、大活躍をした流谷 正章さん(男)がお子様を産みましたーーー!! お子様誕生でーーーーす!!」
青緑荘というアパートの正面にあるコンビニで、カメラ目線の流谷は照れ隠しに顔を一度、伏せた。
「本当―――に、おめでとうございます。どうですか、今のお気持ちは?」
「……大変、嬉しいです……。妻の梨々花(りりか)も顔が奈々川さんに似ていて、とても嬉しかったです」
美人のアナウンサーはピンクのマイクで、容赦なく流谷の口の周りを攻めている。藤元は時々、カメラに向かってピースをしたりしていた。
「そうですか。前奈々川首相(晴美の父親)に?」
「ええ」
流谷は顔を真っ赤にして、恥ずかしいといわんばかりに顔を伏せた。
妻であろう梨々花という美しい女性が、後ろで赤ん坊をベビーカーに乗せていた。ういういしい新婚カップルである?
「では、それでは今日の天気と運勢コーナーです――」
僕はテレビのチャンネルを変えて、珍しく二杯目のコーヒーとピザトーストと、ハンバーガーをアンジェに頼んだ。
食後。テレビを消すと、僕は駐車場に降りようと玄関口からマルカを護衛に連れ、エレベーターに向かったが、途中、武装したヨハがついてきた。
「私~じゃ、ダ~メ~~ですか~」
僕はこっくりと頷いて、武器と弾薬を持ったマルカだけを車に連れて行った。
まずは原田の居場所を探さないといけない。
昨夜から九尾の狐の情報をアンジェたちに探させているが、相手がわるいのか日本の全警察署のデータを調べても、名前しかでてこかなかった……。
云話事町で一番、裏の世界を知っていると言われる人物に会いに、僕は車を走らせた。会社にはアンジェが連絡をしている。
今頃は仕事を押し付けた河守が大変だろうが、まあいいか。
後、僕は10年ぶりに拳銃を所持した。
旧ソビエト軍の正式拳銃マカロフだ。
昔はよくハト撃ちで遊んでいたけれど、治安が悪くなるとボディガードやアンジェたちだけで身辺警護は十分になっていたので、使わなくなった。
「雷蔵様。ヨハが心配していましたよ」
「……」
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