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だが、僕は当たり障りのないことを淡々と告げた。
白くL字型の大きな総合病院。云話事・仁田・クリニックには、駆け付けたヨハが心配していた。僕は腕をマルカによって応急処置をされていたが、真っ赤な血だらけの腕を見て、ヨハはその可愛らしい顔に険しい表情を作った。
「雷蔵様~~。大丈夫じゃなさそうで~~す。先生早く来てくださ~~い」
間延びした甘ったるい声のヨハが、ひっきりなしに患者や医者や白衣のノウハウ、看護婦が行き来する通路で仁王立ちしていた。
白衣のノウハウをヨハが捕まえた。
「大丈夫ですか? 今、お調べしますね……。マイナンバーカードを見せてください」
ノウハウの持つ、手のひらサイズの識別装置で、挿し込んだマイナンバーカードを認識している間。僕は通路の長椅子に腰かけた。痛みは酷かったがあまり気にしていない。
それより、僕はさっきの赤い車は坂本の送った刺客だと思った。
隣に座っているマルカに赤い車を調べてもらっている。
マルカは僕の腕の包帯をきつく締めたりしながら、全警察暑のデータバンクと体内で通信していた。
「だから~~。私を~~。連れてって~~~て、言ったのに~~」
ヨハは白衣のノウハウが僕を奥の診察室に案内するのを見送った。
その夜。
僕は云話事・仁田・クリニックにしばらく入院することになった。云話事・仁田・クリニックは云話事イーストタウンの中央にあって、あの襲撃をされたところから西へ車で、1時間半のところにあった。
マルカは裏の社会に詳しい男に会いに向かわせた。アンジェはすぐに雇ったノウハウたちと自宅の警護(自宅には外に洩れるとまずいものが多い)。ヨハは僕の護衛をさせた。
出血が激しいからと白衣のノウハウが判断し、入院手続きをした。
弾は貫通していなくて、手術で取り出さなくてはならなくなった。
こんなことになるのなら、最初からマルカ一人に行かせておけばよかったと僕は少し後悔した。しかし、僕はどうしても重要なことは自分が立ち会わなければと思う性格をしていた。
「雷蔵様~お肉ばっかり~~」
手術を終えて、いくらか輸血をしてもらい。白い個室のベットで横になっていると、ヨハが隣の丸椅子で売店から買って来たリンゴを剥いていた。隅にあるテレビからはB区だけの放送をやっていた。
「食べないと~~いけませ~~ん」
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